1の分割


定理

ハウスドルフ第二可算実多様体$X$は任意の開被覆$\{U_i\}_{i\in I}$に対してこれに従属する滑らかな1の分割を持つ.すなわち滑らかな関数の族$\{\lambda_j\}_{j\in J}$であって,

  1. $0\leq\lambda_j\leq 1$
  2. 任意の$j\in J$に対してある$U_{i(j)}\in\{U_i\}_{i\in I}$が存在して$\operatorname{supp}\lambda_j\subset U_{i(j)}$を満たす.
  3. 任意の$x\in X$に対して$x$のある開近傍$W$が存在して,有限個の$j$を除いて$\lambda_j\vert_{W}=0$が成り立つ.
  4. $\sum_j\lambda_j=1$

を満たすものが存在する.

証明

pollymath.hatenablog.com
上記ページにより$X$はリンデレフである.可算な相対コンパクト開被覆$\{V_n\}_{n\in\mathbb{N}}$が存在する.
pollymath.hatenablog.com
上記ページの証明により整数の増大列$0 < n_1 < n_2 < n_3 < \cdots$で
\[\bigcup_{k=1}^{n_j}V_k \supset \bigcup_{k=1}^{n_{j-1}}\overline{V_k}\]
を満たすものがある.$j\leq 0$に対しては$n_j=0$とみなすことで
\begin{align}
W_j &= \bigcup_{k=1}^{n_{j+1}}V_k - \bigcup_{k=1}^{n_{j-2}}\overline{V_k} \\
K_j &= \bigcup_{k=1}^{n_j}\overline{V_k} - \bigcup_{k=1}^{n_{j-1}}V_k
\end{align}
とおくと$K_j\subset W_j$である.さらに$\{W_j\}_j$は局所有限であり,$\{K_j\}_j$は$X$を覆う.
$K_j$の任意の点$a\in K_j$と$a$を含む$U_i$に対して次の定理を使う.
pollymath.hatenablog.com
このときなめらかな$f_{j,a}\colon X\rightarrow\mathbb{R}$であって$f_{j,a}\geq 0$かつ$f_{j,a}(a)>0$かつ$\operatorname{supp} f_{j,a} \subset U_i\cap W_j$が成り立つものが存在する.$K_j$はコンパクトなので有限個の点からなる集合$A_j\subset K_j$を選んで$\sum_{a\in A_j}f_{j,a}\vert_{K_j} > 0$とできる.また$\{W_j\}_j$が局所有限であることより,$\{f_{j,a}\}_{a\in A_j}$の合併$\{f_{j,a}\}_{j\in\mathbb{N}, a\in A_j}$は局所的には有限個を除いて$0$である.新しく$g_{j,a}=f_{j,a}/\sum_{j',a'}f_{j',a'}$とおけば族$\{g_{j,a}\}$が定理を満たす.$\square$